『ウェブを進化させる人たち』6


株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)、取締役、守安功氏とのお話。

守安氏、東大大学院卒なんだ、へー。航空宇宙工学専攻だったんだー、へー。最初オラクルだったんだ、へー。もともとはシステムエンジニアだったんだ、へー。DeNAっていうと、ぱっと思いつくのは南場智子氏なんですが。

モバゲーは、名前は知っているけど私はケータイでゲームやらないのでよく知りません。すごいユーザーいるんだ、へー。ちょっと前にDeNA、の第3四半期決算が売上高は37億3700万円(前年同期比113%増)、営業利益は11億9400万円(同83%増)、経常利益は12億2200万円(同87%増)当期純利益は6億1300万円(同23%増)、というニュースを聞いたばかり。す、すごい。
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20341513,00.htm

湯川 「モバゲータウン」すごいですね。僕も利用しています。

(p.45)

えー( ゜Д゜)! 「モバゲータウン」って10代から20代前半の人々のコミュ二ティーっていう印象があるのですが…。

守安 今まで携帯ゲームにはいろいろなサービスがありましたが、基本的には公式サイトで展開して、月額制だったり、1回のダウンロードでいくらだったりと、有料のコンテンツが大半でした。モバゲータウンの場合、公式サイト並みのゲームのクオリティを保ちつつ、それを無料でユーザーに提供したというところが大きな成功の理由のひとつだと考えています。

(p.46)

これ、成功の理由のうちのいくつかだよね? ひとつじゃないよね?

最近の若者のPC離れ、というか、ケータイで完結、というスタイルは本当なのだろう。そういう彼らにとって、公式サイト“にも”アクセスしなれば遊べない、というのは、面倒くさい。ゲームするのってウチじゃなくて、電車の中でとか余った時間でやるんじゃん、ってね。月額制・有料っていうのも、親にケータイ代を払ってもらっている手前、登録するのは難しい。お小遣いだって限りがあるし、他にもお金使いたいことはたくさんあるし。

ぶっちゃけ、タダだったから、じゃないでしょうか? そしてそれが、1回やればお腹いっぱいのクソゲーじゃなくて、それなりにまあまたやってもいいかなレベルのゲームだったから、リピーターを獲得できたんじゃないでしょうか。そしたら、お、なんかSNSとかあるじゃない、ここにフックしていても便利そうだな、とかなんとか…ああ、これがビジネスモデルなのか! 

公式サイト並みのゲームのクオリティ…うーん、公式サイトものもクオリティは低いと思うけど…DSとかよりは明らかにレベル低いです。かけているお金が違うと言われたらそれまでですが。

湯川 …無料だとなかなかビジネスになりません。ビジネスモデルはどうなっていますか。

守安 現状は広告収入に頼っている形になります。その中でも、いわゆる純広告といって、トップページの枠をいくらで売る、メールマガジンに広告を載せて1回の配信でいくらにするというものの他に、アバターも広告に関連していきます。…

(p.46-47)

この他にも、アフェリエイトの仕組みと連動させたりして、広告収入の最大化を図っているそうだ。これで黒字化は達成できているらしい。しかも、広告が出ていてもあんまり五月蝿くないように仕込んでいるそうだ。クライアントさんにしてみれば「もっときっちり見せてくれ!」って思うかもしれないけど、あんまり五月蝿く出てこられると返って逆効果だよね(^_^;) ユーザーさんも離れちゃうし。この辺、ちゃんと考えて落とし込んで実績を出せているのはすごいなと思った。

守安 …携帯で伸びるものが確実にゲームだということはみんなが思っていました。

(p.49)

えー( ゜Д゜)! 2005年の夏くらいのことらしいが…まったく思わなかった。あんなちっこい画面でゲーム、しかもどこでやるのよ、と、今でも思っているけど。でも、事実今伸びてるしなあ、この会社。それだけユーザーがいるってことだしなあ。でも周りみてもケータイでゲームやっている人って全然いないんだよね…。

ゲーム+SNSというよりは、無料ゲームは撒き餌なんだよね。ゲームで定常的に呼んどいて、何度も訪れるココには実は居心地のいいコミュニティーがあるんだけどどう?みたいな。

湯川 今後はどのように進むと計画されていますか。

守安 携帯サイトの中で、いわゆるポータルサイトのような位置付けを狙っています。…「まずはモバゲータウンに行こう」と考えてくれる様な位置付けのサイトにしていきたいと考えています。

(p.50)

これ、ドコモとかだと厳しいよね。まずi-modeメニューに行かないとならないじゃん。i-modeじゃなくてweb利用でも、まずはbookmarkリストを見に行かないとならないじゃん。アイコンとか自由に登録できるようになるとこれは達成されそうな気がするけど、今のままじゃハード的に「まずは…」になりにくいと思う。

湯川 PCとの連帯は考えていますか。

守安 現時点では考えていません。

(p.50)

守安 …いわゆるパソコンを使わないユーザーはかなりいます。携帯電話でインターネットをヘビーに使うユーザーがかなりの数存在することはわかっていますので、そういった意味では、まずそのユーザーを取り込むのが第一です。…

(p.51)

うむ、やはりな、という感じ。PCユーザーとケータイユーザーは“分けて”考えなけれなならないのだな。

湯川 …ソフトバンクが携帯に参入しましたが、どちらかというと、ソフトバンクはPCと携帯の連携を考えて攻めてくるだろうと思います。そういう戦略が有効だと考える人もいらっしゃいますし、PC層と携帯層は実はそれほど融合していなくて、携帯しか使わないユーザーがごまんといるから、そこをまず固めることが大切だと考える人もいますね…

守安 基本的に、携帯だけを使う層、PCだけしか使わない層、PCと携帯の両方を使う層の3つがあると思います。今後、3番目に挙げた両方を使う層が増えてくると思いますが、現状においては携帯だけを使う層もかなりいると考えていますので、今はそのユーザー向けに一番使いやすいものを作るという点に特化して進めています。

(p.51)

いやあ、これからデジタルコンテンツは面白くなる予感がばりばりします。ワンセグとか言っている場合じゃないよね全く。こういう何気ないけど大切なことを御座なりにしないからこの会社は伸びたんだと思う。自分たちがよいと思うものを提供していくっていうことは基本だけど、お客さんとかカスタマーって一体どういう人たちなのかってことを考えつつ、それらの人たちが変わっていくこととか、新しい技術が出てくることを予想して“仕込み”をしていく…めちゃくちゃ面白いと思います。

守安 基本的にはスピードだと思っていますので、守に入るよりはどんどん自分たちで新しいサービスを追加していって、自分たちのパイを広げていくような形で戦っていこうと思います。

(p.53)

DeNAだって私から見れば十分大きい会社だけど、ちゃんと機動力あるもんなあ…。やっぱりサービスをでかくした人が言うことだなあと思いました。そして「行うは難し」をちゃんとやった人なんだなあ、と。見習って行きたいと思います。あ、習うだけじゃだめか、やっていかないと、だな。