『ウェブを進化させる人たち』11

GMO VenturePartners株式会社 取締役 村松竜氏へのインタビュー。

GMOの名前は知ってはいますが、村松氏のお名前は知りませんでした。最初からベンチャー・キャピタル系(なになに系、って、便利な言い方ですね)な方だったのですね。

うーん、やっぱり日本の中小企業には経営者がいないんだなあと思いました。中小企業はかつかつでやっているんだから、そんな人材にお金かけてられないよ!っていう言い方もあるのかもしれないけど、かつかつだからこそ経営戦略が必要なのでは、と思うのですが。

湯川 よく言われるのは、日本には経営の経験者が少ないということです。何か新しい事業のアイデアがあっても、それを任せることのできる人が少ない。学生のノリのベンチャー起業の経営者に「誰かプロの経営者を呼んできたら」と提案しても「経営経験が豊富な人で、ベンチャーを手伝ってくれるような人はいませんよ」という答えが返ってきます。

村松 経営者は確かに少ないと思います。アメリカにはものすごく多くいて、層の厚さは本当にすごい。…

分母が大きいので、そういう土壌から中には突出して成功するGoogleのような会社も出てきます。その土壌がないところで、いくら大企業になるような天才的なベンチャーを期待しても、それは無理というものです。つまり、シリコンバレー型はインフラ面で強いという印象があります。

(p.99)

水清ければ魚住まず、の逆ですね。

村松 …アメリカ人はどんどんイノベーションを起こして、しかもシリコンバレー発の会社が世界を変えていく。それを目の当たりにしているうちに、日本でこれをやらなければ本当にまずいということをすごく感じました。それで、99年の夏くらいには会社を作る側に回ろうと思ったのです。

(p.100)

そう思って、行動を起こすというところが村松氏がキャピタリストたる所以であるのだなあ。それは私たちが「ないものは作っちゃえ♪」とか「とりあえずやっちゃえ♪」みたいに突っ走っちゃう人間であるが故にこのような仕事に就いていることと同じことなんだと思います。そうでない人からみると「はあ、よくやるねえ( ゜Д゜)」っていうようなことなんだろうな(参考:http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0703/20/news011.html)。

村松 日米を見ていて感じるのは、企業におけるコミュニケーションの形態が異なるということです。日本は大部屋のコミュニケーション、アメリカは個室のコミュニケーションです。…

(p.104)

村松 …アメリカの企業は、あくまでもプロセスが中心になって動きます。
こういうプロジェクトはこう進めてという青写真があって、それぞれはバラバラに動く。そしてときどき集まっては同期する。それで課題が出るとそれに従ってみんなが集まってプロセスどおりに進んで行く。それをサポートするツールとしていろんなITツールがある感じです。このコミュニケーションの形態が、Notesが大成功しら理由のひとつだったりします。こうしたプロセス中心の仕事の進め方にあったツールだったわけです。
逆に日本だと、すぐに会話ができるような距離にみんながいます。

湯川 一応、大部屋ですね。他の人が仕事をしていようが全くお構いなしに、「ところでさぁ」と話を始めるわけですね。そういうコミュニケーションの場のために、机で島が作られていたりしますね。

村松 日本的なそういうコミュニケーションの形態が強いと言われていた時期とダメだと言われていた時期が交互に来ていますが、基本的にはそういうコミュニケーションの形が日本企業の原点だと思っています。その上にうまく乗ってきているのが、イントラブログであったり、最近は非常に普及し始めてきた社内SNSです。

(p.104)

何でも吸収する日本人および日本企業は、この2つの方法とも、現在の会社組織・運営に取り入れていると思います。しかし、その本質を理解していないので、両方法の良いところも悪いところもごっちゃになってしまっていて、良いところがあまり発揮されていないような気がします。特にウチの会社なんか、そう。開発工程とかはUS式なのに、スケジュールの擦り合わせとかは日本式。しかも契約されたものじゃないから、何かあるとみんながみんな「空気嫁!」って思ってて解決しなくて、結局ストレス倍増(^_^;)

大部屋コミュニケーションと言えば、思い出したのが、これ。
http://d.hatena.ne.jp/hsksyusk/20070413/1176483033
タバコ部屋コミュニケーション…なんて、私が知る限りUSにはなかったなあ。タバコってみんな、ひとりでだまって吸って、とっとと仕事に戻っていたから。飲みにケーション(solute communication)とか、ジムにケーションとか、あったけど、そこで仕事の話をするのは無粋とされていたし、もし誰かが話の成り行き上話題が仕事の話に近づいていくと「それは明日会社でしないか?」と誰ともなく切り出して、その場での話は中断していました。だって、少人数で話しても、またみんなに話なくっちゃならないし、そこにいなかった人の意見も聞きたいわけで。

ちなみに私はタバコ吸わないけど、タバコ部屋ぜーんぜんうらやましくありません。ま、ウチの会社はタバコ部屋で何かネゴが行われる規模の会社ではないのですが。前職は、タバコ部屋コミュニケーションが盛んな会社でしたが、それでもやっぱりぜんぜんうらやましくありませんでした。私は多分、別にタバコ吹かさなくても、他でちゃんとコミュニケーション取れていたからそんな気にならかったんでしょうね。で、この件の後日談がここにあります。
http://d.hatena.ne.jp/hsksyusk/20070415/1176649712
場がないとコミュケーションは生まれない、っていうのは、真実だと思います。それは喫煙所でなくてもいいはず。むしろ、実体のない場であるところのイントラブログであったり社内SNSの方が、US式プロセス・マネイジメントにすっと融合していけるのかもしれない、と思いました。まあ、それでもその「場」に入ったり馴染んだりするのはハードルが高いな、と感じる人はいるんでしょうけど。…そうか、その馴染み方、ハードルの下げ方っていうのは、考えてみる余地はあるな。