『ウェブを進化させる人たち』2

湯川 それは「CGM」や「集合知」と言われる新しい情報収集の考え方を連想させますね。僕は、インターネットが広まってきたことによって情報収集のフェーズが順番にきていると思うんです。今は機会が有利で、Google万能の時代に入っていると考えています。だけどその次には、集合知の時代が来ると思うんですよね。みんなで考えて、みんなでどんな情報が良いかを出し合う。

(p.15-)

今あるSNS、そうmixiも、知恵を集結する仕組みというのは出来つつあると思う。ごくごく個人的な趣味と思われるレベルの事柄でもコミュ二ティーを作ることができ、そして実は世の中には自分と同じような趣味の人がたくさんいて、(今まで自分が見つけられなかっただけで)(っていうか、今まで出会う機会がなかったのだ、世間は、そしてネットはあまりにも広かったので)(それがmixiというちょっと狭い世界に集まって、密度を高くして、誰かいないかいと呼びかけたら、誰かいたというわけだ)、そいういう人たちと情報を交換しあったり意見を交わしたりすることができるようになること…そういう仕組みは、出来つつあると思う。

しかし、知恵を集めるだけ集めてもしょうがないと思う。それを活用できなければ、ないのと同じだ。新しい情報収集の「新しい」という意味が、どういった新しさなのか、ここからはちょっとわからないんだけど…。きっと湯川氏はエッジの効いた知恵の活用方法とか新しい情報収集方法とか、考えているんだろうな。

私個人は、集める方法よりも、活用する方法の方に興味があるな。集めが情報がたとえ少なくても、それを料理したり活用して、多角的に見たり考えたりできるようになったりとか、違った意味とか価値を生み出したりとかするにはどうしたらいいのか考えるところに興味があります。

笠原 …あとはやはり、自分で何か働きかけて、それが結果に反映されるのがいいと思うんですよね。Googleはもちろん素晴らしいのですが、Googleの検索結果に対して自分が影響を与えらえることは何もないんです。それに対して、ソーシャルブックマークSNSでは、自分が何か働きかけたことによって、結果自体を左右することができる。自分でコントロールできる範囲が持てるというのが、非常にいいんじゃないかなと思っていますね。

(p.16)

自分の考えや働きかけを汲み取ってくれる仕組み、というのはいいなと思う。そしてそれが他の人の幸せに繋がるのならなおいいな!と思います。

Googleは、もう全く性格が異なるものだと思うのです。比べちゃだめだと。Googleは、カスタマイズできるといいなと思うけど、考えや働きかけが反映されたらもうそれは「私フィルタ」のかかった検索結果、とか、なんとかになってしまう、それは私がGoogleに期待するところじゃない。Googleは、広くてフラットでいてもらいたい。大丈夫、こちら、お金で解決したところの匂いはちゃんと嗅ぎ分けてるから。

む、待てよ、私はちゃんと、お金で解決したところの匂いを嗅ぎ分けることができているだろうか? これはお金でそうし向けたんですよっていうところがわからないで、ああこれが民意なんだな、とか、これがスタンダードなんだな、とか、思っちゃって、そっちに流れちゃっている人もいるかもしれない。そういう人のヨワいところをすくうようにしてお金を稼いでいる人がいるっていうのは、やだな。

自分で働きかけて自分でコントロールできるばかりがよいことでもないんじゃないかな。ある程度の不自由さであるとか、コントロールをするにはこういう知識がいるとかステップがいるとか、そういう余地は残しておかないといけないかも、と思います。不自由さを乗り越えようとすると、知識とか技術とかが付く訳で。それがあんまりたくさん期待できなくても、ある程度時間が経てば、そのときは見えていなかったことでもわかることとかあると思うので。そうでないと、件の、脊髄反射的に「読み逃げ!」とか言い出す人を量産してしまうようになってしまうのではないかなと思うのです。